ざわざわ
「……、……!」
自分の頬や腕を何かがピシピシとくすぐる感覚がする。
まばたきでぼんやりと浮かんできた景色は、自分の背たけよりも大きな植え込みの迷路をかき分ける己の腕。
風のざわめきの中に誰かの声が聞こえると、その方角を目指
して小走りになる。導かれるように体が自然と向かったのは、聞こえたのがどこか既視感を覚える声だったからかもしれない。
機嫌が悪そうな鉛色の空に冷たい空気、湿った草木の匂い。轟々と音を立てる風が誰かを叱るみたいに雨粒を強く地面に叩きつけている。落雷の音が遠く聞こえて感じる強い焦燥感。
ピシャン、ガラガラガラ……
「ぅわっ……」
一際大きな雷が鳴った。辺りを一瞬、黄色く染める。
声のした方に視線を向けると、見上げるような木の太い枝に子供がしがみついているのが見えた。日が当たらないために彩度の落ちた世界で、真っ赤な髪が雷に明かされ鮮烈に光る。
「……!……!」
その姿を見つけた俺は、感情の処理に困るような苛立ちを感じた。
花も果物も成らない、自分の背丈よりも高いだけの木になんの用があるのかと。
何も、雨で滑りやすいこんな日に限って登ろうとしなくてもいいではないか。嫌な予感に鼓動が早まるのを感じる。
「……ル! ほら…………あ!」
何も出来ずにハラハラと見守っていると、突風が吹き荒び、こちらへ振り返ろうとした子供の体が傾く。
「!!」
つづく折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-23 04:46:29
93786文字
会話率:47%
これは「Hakusuya」「柏栖家」「はくすや」グループの作品群の登場人物、団体名、舞台設定のインデックスです。
かねてより登場人物が多すぎてわからないというご指摘があり、一覧をつくろうと思いましたが、同じ登場人物が複数の作品に登場すること
が多く、一つ一つにそれらを掲載するより、いっそ一つにまとめてしまえと思い直し、このインデックスをつくることにしました。
現在連載中のものを優先的に徐々に加筆していきますので、ご参照ください。
ちなみに2022年6月時点で大学生シリーズは下記連載中です。
「明和学院大後藤君の擬態と暗躍」(パート2になっております)
「京葉工科大医務室の迷える仔羊と狼」(連載再開しました)
以下は中断中です。
「オレたちのマドンナ~青葉は繁る、そこかしこ~」
以下は完結済
「神保大藤尾さんの新生活は収拾不能」
「文学部種田君の不安と焦燥と妄想」
「文学部種田君の傷心と後悔」
「文学部種田君の迷走と惑乱」
「理工学部長崎君の美貌と誘惑 ~青葉は繁る、そこかしこ~」
「帝都大山野辺君の酩酊と復活」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-06-12 23:00:00
3145文字
会話率:10%
おっと、見つけてしまいましたね。ひっそりと更新していこうと思っていましたのに。
これは、ある大学生の奇妙な日常を描いたものです。平凡な大学生が正体不明の人物に脅かされ、憧れの女性を守るために鬼畜にもなる覚悟を求められる物語です。R指定の描写
は全体の一割にも満たないと思いますが、かといって通常の投稿サイト向きではないためミッドナイトノベルズに掲載することとしました。
あらすじ
明鏡大学二年生種田正輝には、天使と崇めるクラスメイトがいた。彼女への思いを募らせつつも、かなわぬ恋と諦めている彼は、悪友にそそのかされて合コンで知り合った女子大生と初体験をすませる。その後も一度限りの相手を悪友にあてがわれるようになるが彼女への思いはかわらない。
一方、彼の周囲には彼の動きを監視する正体不明の人物がいた。その魔手が憧れの彼女にまで及び始めた。彼は彼女を守ることができるのか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-29 23:00:00
207698文字
会話率:34%
株式会社岡田土木に勤めるフリーターの浅井義男は顔も人生も平凡。
このまま平々凡々と生きていていいのだろうかという焦燥感に苛まれていたある日、
突然社員である無口でガタイのいい金森に襲われる。
そんな非日常を味わった時から少しずつ、思考停止し
ていた日常が動き始める―。
※印は18禁部分です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-28 11:49:02
138767文字
会話率:26%
山田利津は生まれつき、世界のどこにも存在しない言葉、アルル語を喋ることができた。そしていつも、大切な何かを失くして見つからないような焦燥感を感じて生きていた。落ち着くことができるのは、唯一湖の側にいるときだけだった。人より直感が働いて曲がっ
たことが大嫌いな利津は誰かと交際に至ることもなく、このまま湖の側で生きて行くのだと漠然と思っていた。二十一歳の誕生日、いつものように湖の畔で過ごしていたリツは、水面に赤い宝石が浮かんでいるのを見つける。それを手に取った瞬間に巨大な渦に巻き込まれ、気付けばセント・アルル国の王城の泉に座り込んでいた。セント・アルルは地球上には存在しない異世界の国で、利津が生まれつき話せるアルル語を話していた。
※第22回角川ルビー小説大賞に応募して落選した作品です。
一生懸命書きましたので、多くの方に読んでもらえたら嬉しいです^^
既に完結していますので、完結まで止まることなく毎日更新されます。
エブリスタとカクヨムにも同時掲載させていただきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-19 18:00:00
86718文字
会話率:41%
日頃から自惚れイケメン男子が、語学力の低い留学生男子に意地悪してみたら…
最終更新:2021-09-06 15:37:10
1394文字
会話率:34%
健斗たちに怯えるうげつは罰として鞭で打たれる。ある日健斗達と悠の会話を立ち聞きしていたうげつは漣に手を掴まれてしまう。漣に身体を触らせた罰として悠は二穴を責め、出血するほど激しいイラマを行う。女に不信を抱く悠はうげつを奪われるのではという焦
燥感を抱いていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-24 12:27:27
6196文字
会話率:47%
聖女様専属のレフ板──ではなく、真っ白な容姿をした護衛の魔女・ルシル。ルシルの幼馴染で、護衛職トップの聖騎士を目指すエリート候補生・ヒューゴ。二人は幼い頃からずっと一緒で、お互いが初めての相手だった。関係を続けていくうちに、いつしかヒューゴ
から明確な好意を告げられなくなったルシルは「自分はヒューゴの恋人ではなくセフレなのかもしれない」と思うようになる。そんなルシルは聖女様を庇った際に負傷し、たいしたケガでもないのに長閑(のどか)な田舎の病院へ入院することに。そこへ足繁く見舞いに訪れるヒューゴは、毎日飽きることなくルシルを求めた。恋人としての言葉も証もなく、不安になりながらも大好きなヒューゴとの関係を続けてしまうルシル。言葉はなくとも、自分を大事にしてくれるヒューゴを信じたいけれど……。ヒューゴがルシルに「好き」と言わないその理由とは。※魔法有りの世界ですがそんなに魔法を使っておらず、ヒロインは健気というより強気でたくましい系です。現実の病院はホテルじゃないよ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-14 16:50:23
25537文字
会話率:28%
不意に足を取られ、前のめりに投げ出した身体を粘液溜まりのクッションが絡め取る。強力に粘りつく拘束に、身動きがままならない。焦燥感に駆られる少女の背後で、教室の戸が崩壊する。陥れた獲物を前にして、のそりと無貌の怪物がその鎌首をもたげた。ぽっか
りと裂けたその大口に牙はなく、ひと一人飲み込むのに適していた。狡猾な罠に掛かり、捕食の危機に瀕した少女――河川泉は唇を噛む。外界から隔絶した霧の世界”裏狭霧町”に取り込まれたまま、簡単に終われるものかと彼女は再びその双眸に闘志を宿す。
これは、全てを霧の呑み込まれた世界で懸命に抗う少女たちの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-03 23:00:00
47939文字
会話率:45%
かつて天才少年と呼ばれた僕、王立魔導研究所研究員のレイ・アイファンズは、そろそろ少年じゃなくなる17歳の今、天才でもないことに、気がついた。
なにかを為すのに人の寿命は余りにも短くて。
焦燥感で押し潰されそうだったある日、母にこう言われた。
「竜帝国に、行ってこい。
うまくすれば、永遠の命が手にはいるかもだぞ?」
そんな助言に従って辿り着いた竜帝国で出会った竜は、とても美しくて、かっこよくて、そして僕を、彼のつがいと、呼んだ。
※18禁展開は予告なく入ります
※こちらは「なんの特殊能力もない腐女子ですが、異世界転生しました」と同じ世界のお話です。
※昔アカウントもろとも消した作品の再掲です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-04 23:13:10
51105文字
会話率:20%
かつて天才少年と呼ばれた僕、王立魔導研究所研究員のレイ・アイファンズは、そろそろ少年じゃなくなる17歳の今、天才でもないことに、気がついた。
なにかを為すのに人の寿命は余りにも短くて。
焦燥感で押し潰されそうだったある日、母にこう言われた。
「竜帝国に、行ってこい。
うまくすれば、永遠の命が手にはいるかもだぞ?」
そんな助言に従って辿り着いた竜帝国で出会った竜は、とても美しくて、かっこよくて、そして僕を、彼のつがいと、呼んだ。
※18禁展開は予告なく入ります
※こちらは前作「なんの特殊能力もない腐女子ですが、異世界転生しました」と同じ世界です
前作をお読みいただかなくても平気なように書くつもりですが、読んでいただいた方がより楽しめると思います折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-02-01 22:42:00
49202文字
会話率:19%
高円寺在住の貴羽朋也(29)は、プロミュージシャンを目指す、年齢も手伝って、一際成就の焦燥にかられた、どこにでもいるような青年であった。否、その焦燥感に関しては、少し病的と言っても過言ではなかったものではあるが……
それは、全ては彼の生い立
ちに起因する事となる。
そしてこの物語には、全て、彼の生きてきた人生が起因している。
……いづこかの謎の世界に住む少女と繋がった事さえも……。
この作品は、カクヨムにも連載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-20 21:50:28
103116文字
会話率:35%
包容力ドS×落ち着きのない大学生。年の差カップル。拙著「恋人はメリーゴーランド少年だった」シリーズのシンクロ作品です。機能不全的な家族関係で育った2人の物語。
久田悠人(18)大学生。楽器屋でのバイト中に、怪しい会社員の男(早瀬)に出会う
。憧れの先輩(男)に付きまっていると勘違いして、モップを突き付けて追い払おうとした。誤解が解けた後、早瀬との付き合いが始まった。物腰が柔らかく爽やかな笑顔に信用して食事に行く約束をしたものの、強引な男だと判明した。早瀬の方は、全く好みではない悠人に惹かれて猛アタックする。
幼い頃より祖母に育てられた悠人は、誰かに求められたい、必要とされたい思いを抱えている。父から高圧的な態度を取られ続けて育ち、大学生になった後も委縮している。早瀬や親友との出会いの中で、自信を付けていく。
時系列:眠れる森の音楽少年~あの日のキミ→海のそばの音楽少年~あの日のキミ→回転木馬の音楽少年~あの日のキミ→聖なる雫の音楽少年→森林の星空少年~あの日のメエメエ
夏樹シリーズ(悠人の親友):恋人はメリーゴーランド少年だった(ムーンライトノベルズ掲載中)、アイアンエンジェル~あの日の旋律など。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-16 17:00:00
44581文字
会話率:71%
ひねくれもの天使的な高校生・心を閉ざした会社社長との年の差BL。トラウマのような愛情と葛藤、それを支える家族愛。孤独を抱える二人が紡ぐ恋愛ストーリー。カクヨム(PN)は「夏目奈緒」名義です。小説家になろう(ヒューマンドラマジャンル)も同じで
す。こちらのサイトのみ「室井雫来」名義。
中山夏樹(18)は従姉妹の結婚式の2次会で、倒れてきた酔っ払いの下敷きになり左手に怪我を負った。助けてくれたのが、会場レストラン経営の、黒崎ホールディングス代表取締役社長・黒崎圭一郎(33)
紆余曲折があり、夏樹と黒崎は恋人同士になった。その直後に起きた、バイト元の大学生から受けたストーリーまがいの行為の末、車に押し込まれようとした。手を上げることなく防御して逃げている際、怪我を負った。夏樹のことを守れずに悔やんだ黒崎は、二度と傷つけさせないと決心した。その結果、異様にも感じる程の束縛と独占欲、愛情を向けるようになった。
***2人の会話***
「何を見てんだよ?俺が減るからあんまり見るな」
「減ったら足してやるから思う存分、眺めさせろ」
「だったらあんたはその怖い顔をどうにかしろよ」
「なんだって !? 」
「自覚がないのかよ?相手が恐怖を感じたらハラスメント‥‥いた!叩くなよ」
「どういう定義だ、ふざけるな」
***
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-12 03:00:00
3679文字
会話率:61%
大村香苗は、結婚4年目に夫との間でセックスがなくなった。しかし、義理でするような夫とのセックスに嫌気がさしていた香苗は、それを気にすることなく、一人息子の友樹の子育てに情熱を傾けていた。ところが、40歳を目前にしたとき、香苗に灼けるような
焦燥感が襲ってきた。
「このままセックスをしないで、女が終わるのは絶対にいや」
その思いに突き動かされて、香苗はセックスの相手を求めはじめるが、独身のときの上司との不倫の苦い経験から、香苗は大人の男には関心を持てなくなっていた。
そんなある日の朝、香苗は、隣家に住む高校1年生の浅野健司と挨拶を交わす。そのとき、香苗は、突然健司とセックスしたいという思いに囚われてしまう。しかし、健司は、香苗の親友の浅野真由子の一人息子で、しかも友樹の友だちだった……。
※ 第1章 淫らな約束 第2章 親友の息子と…… 第3章 自分の息子と親友が……
第4章 母子相姦・二重奏
※ 3日ごとに更新予定
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-21 00:00:00
160353文字
会話率:35%
――知らなかった、母さんがこんなにも『良いオンナ』だったなんて
身近で、でも一番遠い『女性』である母。そんな母が、他人と肌を重ねていることを知り、何も出来ない息子。
自分だけの母が、男のものになっていく焦燥感。そして、そんな母に惹かれ
ていく感情。
手に入らない最高のオンナが、他人の手で花開くのを見守る辛さを味わえる方に向けた短編集。
※当初、掲載サイトを間違って登録していました。大変失礼致しました。
(正:ノクターン 誤:ミッドナイト)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-16 12:00:00
47820文字
会話率:45%
平凡な農家の青年として生きていた彼は、ある日『トウヤ』という謎の人物の記憶を得た。
その日から、彼の思考は『トウヤ』に侵食され、消えない憎悪と焦燥感から旅に出る。
―これはその過程で起こる欲望と罪の記録である。
最終更新:2019-07-27 01:55:09
485文字
会話率:0%
孤独を抱えた青年「宗一郎」は、三年前の夏、通っている書店の三男坊であり、唯一の友であった「三上銀之助」に身体を開かれる。その夏から三年経った今でも、銀之助は宗一郎の前に姿を見せていた。宗一郎は心に冷たい憎しみを抱えながらも、土砂降りの雨に消
えていく銀之助の姿に、激しい焦燥を覚える。/軽い強姦描写あり。※別サイトにも掲載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-17 09:58:38
6967文字
会話率:50%
榊原トウマ(27)は今をときめくイケメン舞台俳優。
ファンに隠れて付き合っている若手清純派女優の彼女と順風満帆だが、
他の若手俳優の台頭にどこか焦燥感を抱いていた。
そんな折、彼女の人気ドラマシリーズの主演が決まり、広がる格差に焦るトウマ。
彼は自らも有名ドラマに出演するため、よくない噂を耳にする大物男性プロデューサーと……
※全話カラー挿絵付き
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
※男女カップリング前提で、男側がモブおじさんに寝取られます。
※上記の性描写を含む内容ですので、苦手な方はご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-19 16:23:52
27641文字
会話率:38%
学費免除のため、そうほざいて常に学園の主席に座し続けた彼は転生者だった。
転生者だから驕らないし、自重もしていた。だけど、「庶民が主席なのが気に入らない!」そんな理由で陰湿ないじめをしてくる貴族令嬢。
彼は、このままエスカレートして実害が出
たら困る!!
そんな焦燥感に駆られて、令状を煽り、そして決闘することになる。
「負けたほうが勝ったほうの生涯奴隷」という約束を取り付けて。
その後、彼の灰色の学園生活は桃色の性活へと変化を遂げるのだが――それよりもまず、奴隷になった貴族令嬢を辱めていこうと思う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-14 11:32:45
10964文字
会話率:23%
高校生の紗季は、同じ空の下、どこかにいる心強い仲間と協力して強大な敵に立ち向かおうと書かれた謳い文句の広告に惹かれ、MMORPGをダウンロードする。
初めてのダンジョン、初めてのモンスターに苦戦しているところを助けてくれた高レベルのマサトと
、気がつけば毎日一緒に遊ぶことが日課となっていった。
それから五年もの月日は流れ、次第に会いたいと思う気持ちが増していく。けれど心地の良い存在を失いたくなくて…。
R18は最後の方に少しある予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-25 18:00:00
132415文字
会話率:34%