この物語の主人公は、越後の百姓の倅である。
本当は跡を継いで百姓をするところ、父の後釜に邪険にされ家を出たのであった。
江戸に出て、深川で飛脚をして渡世を送っている。
歳は十九、取り柄はすけべ魂である。女体道から女観音道へ至る物語である。
慶応元年五月、あと何年かしたら明治という激動期である。
その頃は、奇妙な踊りが流行るは、辻斬りがあるはで庶民はてんやわんや。
これは、次に来る、新しい世を感じていたのではないのか。
日本の性文化が、最も乱れ咲きしていたと思われるころの話。
このてる吉は、飛脚であちこち街中をまわって、女を見ては喜んでいる。
生来の女好きではあるが、遊び狂っているうちに、ある思いに至ったのである。
女は観音様なのに、救われていない女衆が多すぎるのではないのか。
遊女たちの流した涙、流せなかった涙、声に出せない叫びを知った。
これは、なんとかならないものか。何か、出来ないかと。
……(オラが、遊女屋をやればええでねえか)
てる吉は、そう思ったのである。
生きるのに、本当に困窮しとる女から来てもらう。
歳、容姿、人となり、借金の過多、子連れなど、なんちゃない。
いつまでも、居てくれていい。みんなが付いているから。
女衆が、安寧に過ごせる場を作ろうと思った。
そこで置屋で知り合った土佐の女衒に弟子入りし、女体道のイロハを教わる。
あてがって来る闇の女らに、研がれまくられるという、ありがた修行を重ねる。
相模の国に女仕入れに行かされ、三人連れ帰り、褒美に小判を頂き元手を得る。
四ツ谷の岡場所の外れに、掘っ立て小屋みたいな置屋を作る。
なんとか四人集めて来て、さあ、これからだという時に……
てる吉は、闇に消えたのであった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-12 12:40:35
143809文字
会話率:71%
双子の兄弟の中に、新しい妹の様な存在であらわれたシオリは、幼い頃から、何をするにも三人一緒だった。成長していく中で、お互いへの恋心が強く絡まり、自分達だけの世界を作り上げてしまっていた。そんな世界を何とか解きほぐそうとするシオリだったが、残
された時間少なかった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-10 20:23:00
18058文字
会話率:49%
置屋の末子ロエルは、店の仕込のリュカと共に王宮へ向かう。王宮では隣国の王太子の訪問に合わせて、15歳から18歳までの国中の男子が集められていた。平凡な容姿からすぐに家へ帰されると思ったロエルだが、周囲の予想と違って最終審査まで残ってしまった
。隣国の王太子もやって来て──。
短編『後宮に行けと言われても』の続編です。
・前作を読まなくてもわかる設定になっておりますが、前作もお読みいただければ、よりわかりやすいかと思います。
・置屋と世界観はゆるゆるです。
※Twitter発『2020男子後宮BL企画』に参加させていただいています。
エブリスタにも投稿しています(2020.6.30)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-14 19:52:46
29739文字
会話率:36%
花街の置屋「蒼月」の末子ロエルと店の仕込のリュカ。王宮の最終審査に残った二人は、無事に後宮入りを果たし隣国アスウェルの王太子を迎えることができた。王太子の訪問後、二人はそれぞれ別の道を歩み始める。ロエルとリュカの3カ月後とは──。
短編「
後宮に行けと言われても」→続編「後宮に来てはみたものの」→本作「君からの手紙」となります。
はじめての投稿から1カ月記念に書いてみました。
※Twitter発『男子後宮BL企画』関連作品となっております。
エブリスタにも投稿しています。(2020.7.21)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-28 19:47:35
7272文字
会話率:34%
置屋の末子ロエルは、兄のカザルに「後宮に行け」と言われて驚く。
話を聞いた鳴り物の師匠リアンが店に乗り込んできて――。
花街の置屋の末子が家族や幼馴染との間で悩む話です。
置屋の設定はゆるゆるです。
※Twitter発『2020男子後宮B
L企画』に参加させていただいています。
2020.5.1 日間短編3位ありがとうございます!
◆2022.4.25改稿
エブリスタにも投稿しています。(2020.6.29)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-28 20:32:52
6539文字
会話率:40%
娼館妓楼主の娘ルルが、お使い先の領主館の執事、アーネスに買われる話。
全2話です。
最終更新:2019-08-18 09:00:00
7980文字
会話率:21%
しろたえうすべに
*
足引山の主が作ったとも言われる花街で、十になったばかりの白妙は陰間として水揚げをする。
しかし、彼の心には置屋の番頭の源蔵へのほのかな恋心があった。
*
時代も場所も不特定なため「異世界」や「ファンタジー」として世界を
とらえると入りやすいかもしれません。
全ては作者の想像によるものなので、実際とは大きくかけ離れる事柄、言葉があります。
*
作品の内容上、漢字がたくさん出てきます。
「登場人物・用語解説」は少しずつ書き足していきます。
200字以上になったら、公開します(20180105)。
公開しました(20180108)。
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他サイトにも掲載。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-31 00:06:27
58049文字
会話率:25%
「いつか晴れた日に」のスピンオフ作品です。「芸者置屋で暮らしていた、千尋の母小夜が出奔した。黒塗りの高級車で残された千尋を迎えに来たのは、黄島俊介と名乗る青年だった。雨の日、千尋は俊介のピアノを聴く。悲しい旋律が千尋の心を捉えたとき、千尋は
……」スピンオフなので一応お天気に関係するタイトルがいいと思い、「糸雨(しう)」というタイトルにしました。糸雨は霧雨と同義語です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-09-09 01:11:53
14938文字
会話率:40%
本物語は、『孟宗の一族』シリーズの第5弾、『孟宗の一族 秋家』(鏡の娘→冬家→春家→夏家→秋家)です。
一族の中で唯一女系の鏡家の長女、笙子(しょうこ)が一族の慣わしに従い、四家(春家・夏家・秋家・冬家)それぞれから選ばれた婿候補と、順
番に『試し婚』を行って最終的に婿を選ぶという、“エロチック逆ハーレム”の世界を描いております。
第5弾では、主に福島を舞台に、ヒロインの鏡笙子と『試し婚』の最後を務める秋家の婿養子候補、安美宗治朗(やすみ・そうじろう)との『試し婚』の様子を描いていきます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-09-21 06:01:44
124871文字
会話率:33%