――最高の布を織るためには、機織り女は、男を知ってはならない。
師匠でもある亡き祖母から、強く言われて育った里珠。
その言葉通り、十八になるまで、男も知らず、ただひたすらに機織りに熱中していたのだけど。
ある日、里珠の家の庭に落ちてきた男
。如飛。
刑吏に追われていた彼に口づけられ、激しいめまいのような、嵐のような情動に襲われる。
けれど、それは一瞬のことで。もう永遠に彼には会わないと思ってたのに。
――面を上げよ。
いきなり連れてこられた皇宮で。里珠を待っていたのは、如飛。
彼は、この国の新しい皇帝で。自分を支えてくれる〝陰陽の乙女〟を捜していた。
代々皇帝の一族は、庶民にはない魔力を持って国を治めていて。その膨大な魔力を維持するためには、身の内にある陰陽を整えなくてはいけなくて。乙女は、皇族と交わることで、陰陽の均衡を保つ存在。
ゆえに、乙女なしに、皇帝には即位できず、如飛は、自らの乙女を必要としていた。
「別に、お前をどうこうしようとは思っていない。ただこの後宮で暮らしてくれればよい」
そう、如飛は言ってくれて、里珠のために、新しい機と糸を用意してくれるけど。
(本当に、それだけでいいの?)
戸惑う里珠に、重ねて如飛が言う。
「愛してもないのに交わるのは、互いに不幸になるだけだ。俺は、国のためだけに誰かを不幸にしたくない」
里珠を想うからこそ出た言葉。過去にいた、悲しい乙女を知っているからこそ、如飛は里珠を不幸にしたくなかった。
それらすべてを知った里珠は、如飛の危機に駆けつけて――?
街の機織り女と力を操る皇帝の、真っ直ぐ一途な恋物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-01 17:00:00
4784文字
会話率:31%
外面は真面目な文官だが、週末は――打つ・飲む・買うが好きだった俺は、ある日、ついうっかり裏金騒動に関わってしまい、表向きは移動……いいや、左遷……される事になった。死刑は回避されたから、まぁ良いか! お妃候補生活を頑張ります。※異世界後宮
ものコメディです。(サイトにも掲載)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-03-27 20:12:14
74715文字
会話率:64%
社会不適合のヒキニート女が異世界トリップ。困っているところを面倒な男に拾われ、なにやら色々と注文をつけられた挙句、何故か99番目の妃として国王の後宮(ハレム)に放り込まれてしまう。だがその国の王は、神典によって100人いる妃に全て平等にあら
ねばならないとされていた。つまり100日に一回回ってくる夜伽(ノルマ)さえ我慢すれば三食昼寝付きの贅沢な生活。アレ?これって引きこもり的に最高の環境じゃない?と思っていたのに、何故かあれやこれやと様々な事件に巻き込まれ、気が付いたら大変なことになってしまった。そんな彼女の異世界後宮生活。本編完結済。
2017年7月、ジュリアンパブリッシングフェアリーキス様より書籍していただきました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-01-19 20:00:00
231170文字
会話率:25%
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スピ
ンオフ 「百合とひな菊」を前後編で追加しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-07 22:00:00
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