男は己の体の出っ張ったところの扱いに戸惑い、女は己の身体の欠けたところを補おうとする。
古より、その行為をまぐわいといい、文明の下では支配、文化が生じて以後愛という形をとる。
その交わりはある意味凸凹の闘いでデコボコとなるが、総じてデコはポ
コを鎮めねばならない。
蟷螂であればまぐわい雌に喰われて死ぬ。だが今男はなんの為に生きて闘い、死んでいくのか。
陣場は会社存続にもがき、盟友小早川は…―山上と吉田は組織を守り技術に生きようとする…。
そして山岡は降ってわいた渦に巻きこまれていく。山上と山岡が乗った船は嵐の紀伊水道へ…。
三者三様の生き様が時としてベクトルを同じくして、あるいは反駁しながら会社再建を目指す。
戦前、戦中、戦後の三人がいかに生き抜いていくのか、荒波へ挑む新造船の命運と共に描いた。
第1部「長崎忍ぶ坂」、第2部「生きる道」につづく第3部「面舵いっぱい」、そして――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-11-10 23:34:21
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会話率:39%