引っ越し初日。
四月の桜が舞い散る春の夜、ふたりは再び一緒に暮らし始めた。
姉のように世話を焼いてきた“あたし”と、いつのまにか背が伸びて、大人びた目をするようになった“あの子”。
ずっと守ってきたつもりだった。でも、今夜だけは、違う。
彼の後ろ姿に、声に、言葉に──
何度も揺さぶられた心。
「今日、君の全部が欲しい」
たったその一言で、体の奥が熱く濡れた。
でも、“お姉さん”の仮面を崩したくなくて、精一杯の笑顔で答えた。
あたしの中で、女としての覚悟が芽生える。
タオルを握る手、鏡の前で整えるバスローブ、そして彼の前で脱ぎ捨てる羞恥と決意──
全部、彼に委ねるため。
不器用で優しくて、でも真剣にあたしを抱こうとしてくれる“彼”。
初めてなのに、そんな彼の手つきと舌は、優しくも強く、あたしの身体と心を溶かしていく。
そして──彼が怖気づき、うまく挿れられなかった瞬間。
その背中に映る、不安と悔しさ。
あたしは、姉としてじゃなく、一人の“女”として、そっと彼を受け入れる決意をする。
「……ね、少し……私に任せてくれる?」
優しく微笑んで、恥じらいながらも自分から導く。
喉の奥まで咥えて、緊張する彼を癒し、ふたたび熱を蘇らせる。
そして──ふたりの身体が、初めてひとつになる。
少しの痛みと、それ以上の幸福。
彼の中で、あたしは女になった。
そして、抱き合うたびに、心の奥に溜め込んでいた涙が滲んでいく。
「……ずっとありがとう。これから君に相応しい男になるよ」
彼の言葉に、もう我慢できなかった。
枕に顔を埋めて、誰にも聞かれないように泣いた。
でも、心は──温かかった。
「……あなたはもう、私が一番頼りたい人だよ……おやすみ。」
甘くて、切なくて、静かな春の夜の、
大人と子どもを越える“最初の交わり”。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-19 20:10:00
9124文字
会話率:11%
魔族の姫ジゼルは、幼い頃に森で出会った不思議な少年を今も忘れられずにいる。
名前も年齢も知らない。けれど彼の綺麗な瞳の色だけは、今でも心に深く焼きついていた。
だが彼は人間だ。もう二度会うことはないだろう。
それから数年が経ち、十九にな
ったジゼルは重傷を負った一人の青年と出会う。
名はリュート。穏やかな彼で不思議な雰囲気を持つ彼に一目惚れしてしまった。
リュートはあの少年とは似ても似つかない。
それでも、なぜだろう。リュートに触れるたび、少年の面影がちらつくのだ。
しかも彼は隣国の王子で、本来なら関わってはいけない相手だ。だけど惹かれる心は止められない。
「君を汚したくなかったんだけど……本当に良いの?」
すれ違いと記憶が交差する、運命の再会の物語。
強気で乙女な魔族の姫と、訳あり王子の恋の行方は……?
シリアス時々ラブコメ。
☆=R15
★=R18折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-06 20:02:21
130267文字
会話率:27%
リーリアは伯爵令嬢だが、家には歴史と借金しかなかった。そして父親は大の社交界嫌いのため、引きこもり令嬢となってしまう。けれど儚げな美しさから「幻の美姫」として噂されていた。そんな彼女は何とかして「幸せの妖精」に会い、病気がちな弟の病を癒し
て家の借金を無くしたい。
ある日、妖精に会うために王立公園の大木に登っていたリーリアは、護衛騎士のティードに木から降りるところを見られてしまう。ティードは清楚に見えて実はお転婆なリーリアに惹かれ、彼女は妖精の話を聞いてくれるティードに惹かれてしまう。
秘密を持つ護衛騎士 × 清楚なようでお転婆な伯爵令嬢
二人の恋の行方を握るのは実は……???
*2023年3月加筆修正しました。ヒロインの名前をリノリラ⇒リーリアに変更しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-28 13:26:14
100421文字
会話率:55%
父親を殺した犯人を捕まえるために刑事になった愛梨は、もう少しのところで犯人から殺された。次に目覚めると、愛梨が読んでいたR18指定の異世界恋愛漫画『傾国の聖女』の世界に転生していた。しかも次から次へと男を誘惑していく聖女イレーヌになっていた
。イレーヌは今七歳。水難事故で昏睡状態になったせいで前世の記憶を取り戻したのだ。イレーヌは、快楽墜ちの運命を変える決意をする。原作通りにすすめば起こる、皇帝の陰謀や家族の死を回避するため情報収集を始めるが、思うようにすすまない。ある日、お忍びでやってきた第一皇子ヨハンに出会い、ヨハンこそが運命の相手だとわかる。しかし、イレーヌは現皇帝が鬼畜であることを知っている。
――皇帝の息子なんて絶対いや。せっかくだから、前世で推しにしていた大魔法使いラファエロ様に溺愛されたい。
イレーヌは、家族の不幸回避と推しのラファエロとのハッピーエンドを目指し奮闘するのだが……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-01 19:00:00
1657文字
会話率:8%
私はディフォリ、ごく普通の女。ただ一つ普通と違うのは、幼馴染でもある私の夫が稀代の大天才魔術士プロディジーだということ。そして私は魔物に襲われて死んだ筈、なのになんで今私は夫に口付けをされて目覚めたんだろう。――――あ、やっぱり私、死んだの
!? ※ヒロインが死者、ゆえに屍姦 ※死者ゆえに微グロ ※ヒーローの愛が重め&倫理観が特殊 ※読み手にループの概念が必要 ※死後も溺愛されたい人、自分の死を悲しまれたい人向け ※エロ薄めノーマル(ただし屍姦) ※この小説は2017年9月 なろうに短編として投稿した作品にR18シーンを足したものです、既読の方が読み直す程の変更はありません折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-04-21 21:05:38
16000文字
会話率:39%
サブタイトルごとにお話が分かれていて、17話でひとまず終わっています。安心してお読みいただけます!
願望そのまま、生まれ変わって溺愛されたい、を文字にしました。
わんこ、にゃんこ、赤ちゃん返りか、巫女様か。現代、未来、ファンタジー、どこに
トリップしてくのか。そしてお相手はツンデレ、ヤンデレ、イケメン取り揃え?
異世界トリップとか転生とかで可愛さ爆発、誰からも溺愛される、そんなお話になるはずです。(でした…。なぜか微妙な溺愛になってます(泣))
R18がちょくちょく入るので、大人な人だけよろしくお願いします。
更新はゆっくりめですので、ご了承くださいませ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-01-17 23:25:28
79645文字
会話率:37%
ルームシェアをしている二人のほとんど会話文のショートショートです。
最終更新:2015-12-05 14:10:14
312文字
会話率:89%
私が好きになったのは、綺麗で冷たくて、そして―――。
意地悪先輩とケナゲうぶうぶ後輩の、甘々・ところによりえちぃ恋物語。
お題配布サイト『確かに恋だった』よりお題を頂き、
★冷たい彼に溺愛されたい5題(セリフ)を使用しました。
最終更新:2010-05-11 03:00:33
29338文字
会話率:24%