「ほら、これで――」
牙をなぞられ、
「――ここを、」
自らの動脈にあてがわれ、
「――こうするのでしょう?」
ミスラにされるがまま、サーヴィカの牙が彼の首筋を貫く……。
***
父様の亡き「息子」の成り代わりとして造られたホム
ンクルス――『ミスラ』。
命令ではなく、愛を注がれて生まれた存在。
でもその生き方はどこまでも不自然で、満たされない。
争いと欲望が渦巻く魔術栄える世界で、ある日彼は出逢う。
それは、死体を喰らって生きる半獣半人の娘――サーヴィカ。
「僕を欲しがっていいですよ」
「い、いらない…!」
「ふふ。----欲しがってください」
「やめてやめて首見せないで唇噛まないでなにその目つき……わ、わぁ、それ以上近寄ったら……!」
吸血に「生」を見出したホムンクルスと、死肉にしか興味ない半獣半人の娘。
出会うはずのなかった2人が、一口の“間違い”から関係を結び――
「食べられたい側」と「(生きている状態は)食べたくない側」の、少し歪な愛の物語が始まる。
※吸血鬼ではなく、「吸血する獣」です。
※愛は食欲だ!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-16 22:06:34
4054文字
会話率:29%