人と妖双方の血を引く夜光は、幼い頃に人の世で「鬼の子」として虐げられていた。救い出された後も半人半妖であることに悩まされ、幼い夜光は遂に「人の血を棄てる」ため、「十の贄を必要とする願」を立てる。
──やがて時が流れ、夜光は人ならぬ者達の住ま
う「終の涯」の妓楼・最玉楼で、人気の「花」を勤めるようになっていた。柔和で淑やかな容貌とは裏腹に、心の奥底では人間を憎み続けている夜光。だがある日、浜に流れ着いた瀕死の人間の若者を、成り行きで救うことになった。
素直で裏の無い若者は「葵」と名乗り、傷が癒えるまで夜光が付き添うことになる。人にも妖にもなれない夜光と、何処にも帰るあてのない葵。二人は穏やかな時間の中で次第に心を通わせてゆくが、夜光の抱く「願」が、少しずつ二人の関係に呪わしい影を落とし始める…。
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八百万の雑多な神々や妖がいる世界を舞台にした和風ファンタジー。基本シリアス若干ほのぼの。全体に抑えたトーンのゆるやか展開になります。雰囲気重視の遊び要素も含まれます。ご了承下さい。
※R18要素はかなり後半になります。
※このお話は、自サイトからの転載になります。
※火・金曜日の22時に更新。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-10-04 22:00:00
213886文字
会話率:38%