当時運悪く入谷村に残らねばならなくなった村人には一種の悲壮感が漂っていました。 現状を何か別の方法でもって打開しない限りこの苦境から抜け出せそうにないからです。
入谷村内はともかく、そこから山をいくつも越えた先にある野田原 (のうだは
ら) などこのままの状態が続けば間違いなく孤独死しなければならないような状況でした。
どう見ても義道さんの出稼ぎはうまくいってるようには見受けられません。
生計が嫁いで来たあの頃珠子さんに夢を語ってくれた時のように立ち行かないからです。
義道さんはもうとっくに体力を使い果たし、残るは気力のみとなっていました。 だから余計に心配でした。
確かに誰をもうらやむ美形の妻を山深い自宅に残し里に出稼ぎに出るなどということはよほどのことでもない限りできません。 心配事というのが寝取られです。 入谷村の悪しき噂はよく見聞きしてるからでした。
それでも出かけねばならなかったのは妻との間に出来た子供たちを立派に世に送り出すためでした。 この時代、財布は大方の世帯では当主が握っています。 主要産業がないだけに先祖代々受け継いだものを切り売りと、まるで博奕のようなやり方で生計を維持していたからです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-07 05:00:00
6631文字
会話率:25%
ダムの作り方をご存じでしょうか。 ダムは計画されたある一定区画内に計画通りにコンクリートを流入させねば水を堰き止めることはできません。 渓谷にダムを作ろうとしてもコンクリート製造工場から適切な道路が整備されていなければミキサー車で打設用の
コンクリートを運ぶことは困難です。
ではどうすればよいかと言うとセメント袋と砂を別々に運び現場で掻き混ぜ打設するのです。 日本でダムが発電と灌漑目的で注目を集めた時代、ほぼ全てのダムが現場でミキサーにかける方法を採用しました。 高価なミキサー車を使うとなれば搬送の時間と打設の時間を計算しながら工事を進める必要がありますが、未開の地に砂利道を使って運ぶというのは時間計算がそもそも成り立たなかったのです。 搬送にしてもそうなら掘削・打設にしても高度な知識と技能を持ちかつ経験豊富な人材が決定的に足りなかったからです。
当時の財政はまず必要とされる個所に大きくドンとお金をつぎ込み、端々のところは次の予算が出るまで我慢せよと言うものでした。 巨大なダム工事ともなれば他はさておき予算も人員もまずそこに集中させました。 何処かの国じゃないですが何事につけ人海戦術で乗り越えてきたんです。
野田原 (のうだはら) の安達義道さんもこういったことで駆り出された人夫のひとりでした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-02-06 06:00:00
6666文字
会話率:30%
世界は理不尽にまみれている。そしてその多くは力を持つ者による持たない者への蹂躙という形で現れる。
◆◆◆
ある日一人の男が死んだ。ごくごく普通のなんの取り柄もないモブのような男だ。原因は魔物に向けた英雄の攻撃の"流れ弾"
が当たったというもの。誰かの悪意に晒されたわけでもない、単に運が悪かっただけの死。無価値な男の無価値な死。そんな男の死を悲しむ者は居なかった。故に、英雄たちを責める者も居なかった。
……ただ一人、殺された男を除いては。
これは無力ゆえに殺された男が、とある邪神に目をつけられてその使徒として転生し、英雄、勇者たちを怒りと欲望のままに蹂躙するナンセンス凌辱ファンタジーである。
男は邪神から与えられた力・知識を使い、美しき女英雄たちの肉体と魂を絡めとってゆく。
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異世界転生ではありませんが、性質上「神様転生」要素を含みます。ご注意ください。
基本的には剣と魔法のファンタジー世界ですが、主人公に関しては邪神から与えられた知識によって現代地球の知識を使います。一話から「細胞」みたいなワードが平気で飛び出すので苦手な方は併せてご注意ください。
ザックリネタバレあらすじを書くと、誰もが固有の魔法を使える世界でそれを奪う力を邪神に与えられた主人公が、一騎当千の女英雄たちを堕として奴隷と戦力を増やしていくという内容になります。
寝取られはありません。寝取りはあります。
作者が処女厨なため基本的に処女ばっかり出ることになると思います。
タグは考えるのが面倒なので後々つけていく予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-05 08:06:50
32308文字
会話率:39%
美術部の美しき女先輩との1年間の出来事。
美術部で、根暗な僕にも積極的に話しかけてくれる女先輩に出会う。
先輩は、男なら誰もが好意を抱くような女性だった。
しかし、醜い感情を心に飼う僕は彼女に惹かれることはない。
ある日、僕は非の打ち所が無
いと思っていた彼女の秘密を知ってしまう。
背徳の美術室で先輩は新たな一面をみせた。
それは実に非現実的で、あるいは魅惑的なものだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-22 02:44:43
9947文字
会話率:33%