私の貴方、私たちだけの貴方。 あの日、一目見た時から私は貴方の犬になった。 高潔な貴方、清廉な指先で触れられれば自分も清くなった気がした。足元に侍ればそこは澄みきった川の水底のようだった。 私の光、この泥濘のような世界で、貴方だけが信じられ
た。きっと、貴方を見つける、そのためだけに私はここにいたのだろう。 私のかみさま、きれいなあなた。私を見つけてくれた。あなただけは、私が守ってみせる。
オニーサマってば、何してんのかな〜???って思ったけどさ、この時ばかりは諸手を挙げたよ。昔っから腹の底の見えねぇヤツで心底気味が悪かったが、あのとろとろの顔には目を三度ばかり疑ったが、こればっかりはしょうがない。だってこーんなきれいなひと、見たことがない。 立場柄、華美なものには目が肥えていると思っていたけれど、きっと、このひとは掃き溜めでだって楚々として佇むのだろう。 初めてだ。初めて、ひとを美しい、と思った。きらきらして見えた。 だから、これからがすごく楽しみになったんだ。なによりきれいなひと、白のあなた。あんたは、どうしたらその微笑みを崩すんだろうって、最近そればっかり考えている。ああ、楽しいなあ。
私は、生き物が苦手なんだ。嫌いなわけではない。むしろ、とても好ましく思う。でも、いつも間違える。あの植物は水をやりすぎて根が腐ったから枯れてしまったし、叔父の犬は私が嫌いだ。何でも、「構いすぎたな」、だと。人間だってそうだ。望むから、喜んでくれるから、心の限り応えたのに。 いつだって私の手には何もない。 だから、「やっと見つけた」、そう思った。私の愛は正しいのだと、私を証明する存在とやっと出会えたのだと、そう思った。 線の細い輪郭が、何より儚く見えた。芸術的な四肢と月のような双眸が何より愛しかった。青空を透かした花びらより透いた存在が私の愛を応える様が何より愛らしい。 きっと、私の愛に適うのは貴方だけだ。ああ、貴方だけだ、間違いない。愛している、愛しい貴方。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-03-18 17:58:48
988文字
会話率:12%
辺境伯爵家の末っ子アリアは、婚約者であるこの国の第二王子マリクと真実の愛に目覚めたという男爵令嬢リュシュリューによって大勢の生徒の前で断罪されて婚約破棄を宣言され、学園を追放された。
領地である辺境伯爵領の僻地で暮らしていると、ある時、王都
にある本邸から罠にかかった不審者が転送されてアリアの棲む山奥の地へやってくる。
アリアは断罪の場で誰も助けてくれなかった自分を助けるつもりで、その青年を助けるのだけれど、…。
・※回はR回です。
・完結後、レビュー御礼ss追加しました。
・マリク視点御礼ss追加しました。
・マリク編追加しました。
・ナタリア視点追加しました
・リュシュリュー編追加しました。
・アリア編、ナタリア視点追加しました。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-10-16 00:00:00
270659文字
会話率:47%
ずっと番を探していたのに、やっと出会えた運命の番の手は離してしまい、フェロモンを感じられないアルファを好きになった。
付き合えるようにはなったけれど、自分たちは運命じゃない。相手は運命の番と出会う日が来るかもしれない。
そう思うと番になりた
いとは言えず、なれるはずもないと思いながらも手放せず、好きなのにすれ違ったままお互いを求めるアルファとオメガの話折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-20 20:30:19
74510文字
会話率:60%
あらゆるヒトでない何かが住む惑星。長い時を生きる妖精族美貌の王 エティエンヌフューベルの運命の伴侶である天草凛音。
凛音は日本に住むキャリアウーマン。昼食後にキャラメルマキアートを買いに外に出た瞬間、運命が変わる。気づいた場所は草原。やっ
と出会えた二人だが…。
種族が違えば常識も違いすれ違う毎日。互いが惹かれ合いながらもなかなか仲を詰めれない。
ネックは妖精族は両生具有。運命の人に会って初めて性別が固定される。そんな常識は異世界人の凛音にとっては、知らぬ事。
少し珍しい、世界をまたいだエロティックな愛の物語。
(注意)R指定は常に発動しております。
完結済。子供編も書く予定です。番外編もただ今執筆中。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-05-17 19:46:20
226558文字
会話率:30%