この物語は「有限の巨大な自然数を定義する関数」が記された魔書によって魔法が齎された異世界が舞台です。しかし“私たちの世界の言語”によって魔法は記されているため、まだ誰も、その真実には辿り着いていません。この物語は、名門家の若き娘であるテト
=マ=リッサーが、この世界の数学でいうところの「ペアノ算術の限界」をこえる巨大関数を発明し、世界で最初の魔法使いと称えられるようになるまでの物語です。
カクヨム版との違い:性描写関連での制約を解除します。
備考:作者はプロフェッショナルを志望していません。巨大数研究や生業の合間に執筆をしています。つまり、現状では1年に2話投稿できるかどうかです。気長にお読みください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-24 14:54:44
77437文字
会話率:61%
魔法とは不条理なものであると私は考えています。例えば、魔法が作り出す火は、その世界の原理に基づいているのではないという考えです。その世界の原理に基づいてしまえば、それは科学になってしまいます。さて、私は、ここに、魔法が「演出の道具」でしか
なくなってしまう原因があると感じます。魔法がなぜ発生するのかという定義は、科学ではないのだから必要がありません。しかし、魔法が成立する条件については、これは明確に定義しないと、魔法は「演出の道具」にしかなりえません。例えば、主人公がより強力な魔法を身につけるとき、それはどのように定義されるでしょうか。より強力な魔法は、より高位の精霊の力を得ることが出来たとすることにしましょう。では、その精霊は、なぜより高位なのでしょうか? 問題の解決を、精霊のような未定義なもので解決することは「作劇における魔法」と云えるでしょう。この「作劇における魔法」を作者は無尽蔵に使えるのです。これは“ご都合主義”のひとつかもしれません。
この作品は、この問題の根本を解決する方法を発明しています。魔法は「巨大な有限の自然数を定義する関数」により成立すると私は定義しました。この「巨大な有限の自然数を定義する関数」は、急増加関数により順序数で評価され、順序数よって魔法の優位性を自明にすることが出来ます。そして「巨大な有限の自然数を定義する関数」は「作劇における魔法」とはなりません。それが、より「巨大な有限の自然数を定義する関数」であるないかの決定権は作者にはないからです。作者は、魔法が「Well-defined」であるかどうか、小説という文字列の中で探求しなければならない。これにより、魔法を成立させることそのものを、作品のテーマとすることが出来るわけです。
しかし、巨大数を魔法と組み合わることは、他の重大な問題を発生させます。それは、巨大数の増大率が尋常ではないために、巨大数の価値を保ったまま、戦いを描くことが出来ないことです。この重大な問題を私は「矛盾」という言葉の成り立ちによって解決しました。つまり、魔法は「全てを貫く剣」と「全てを防ぐ盾」だとしました。そして、この魔法が衝突して「矛盾」が起きたときに、順序数によって優位性を決めると定義しました。
※ 本作品はカクヨムにて連載中のものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-09 07:29:53
15163文字
会話率:64%