【姫初め2023】参加作品は第五章第150話の後の番外編です。元旦より4日まで1話ずつ公開します。
フィオラ・エイヴェリー(♂)
元ハミーリアル皇国第三皇子、フィオラとは菫の花を指す北方の古語。
男児の死亡率が高かった皇国では、皇子の
幼名に花の名を冠して死神から隠す習慣が有った。本来であれば成人時に皇帝より正式な名を与えられるが、成人を目前に控えた14歳の時、聖王国の勇者ハリーと共に魔王との戦いに聖者アイオライトとして赴き討伐を果たすも、今際の際の魔王に呪いを掛けられ、彼にはその機会が訪れなかった。
名前の由来は菫色の瞳、髪は水色。両眼の菫色の虹彩は、光の具合によっては、紫がかった青から、ごく淡い青、灰色掛かった黄色に見えるために、菫青石(きんせいせき)の皇子と呼ばれた。セカンドネームのエイヴェリーは、洗礼の際に大司教から送られた『精霊を統べるもの』の称号。
フィオラは永い時を生きて行く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-12-02 15:00:00
1721398文字
会話率:41%
昭和初期、新聞社に勤める彼方《かなた》は、血の繋がりのない祖父の危篤を知り、8年振りに生家に戻ることを決心する。そんな彼方は、生まれながら弱視の傾向が強く、常に眼鏡が必要なのだが、感情が高まると瞳の色が紫に変異する。それは一族の呪われた慣習
があったせいなのだが、彼方がそれを知るのはまだ先のこと。反発ばかりしていた祖父の変わり果てた姿や、変わらぬ初恋の人との再会は、彼方を温かく包み込み、そして苦しめる。そんな中、夜中に訪れた祖父の書斎で見つけた蝶。蝶狂いの祖父が秘匿していた蝶は、一見普通の黒蝶だった。しかし、月光を浴びて変貌した蝶は、彼方にある幻覚を見せる。己と同じ紫の瞳を持つ着物姿の少女に手を差し伸べる祖父の若かかりし頃の姿──。
翌日、恐る恐る少女の是非を問うた彼方に、祖父は彼女を初恋の人だと告げてきて──。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-01-12 00:00:03
120945文字
会話率:18%