俳優・大河成也は、かつて所属事務所のマネージャー・藤原亮一と恋人同士だった。
愛情に包まれたはずの日々は、次第に“把握される関係”へと変わっていく。
台詞、衣装、付き合う人間、発する言葉──すべてを「管理」される違和感。
それでも大河は、愛
だと信じたかった。
けれどある夜、「お前のすべてを俺が把握したい」と告げられた瞬間、彼は気づいてしまう。
この関係の先にあるのは、自分を失う未来だと──。
藤原との別れのあと、空虚な時間のなかで彼を救ったのは、
言葉よりも「距離」を大切にする年下の俳優・切尾佑介だった。
誰かに触れられるのが怖い。
けれど、そばにいてほしい。
壊れた心が少しずつ再び動き出す、その予感。
これは、愛を錯覚したマネージャーと、自由を失った俳優の、
支配から解放されるまでの物語。
そして、もう一度「誰かを好きになること」を、許せるようになるまでの記録。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-23 22:00:00
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会話率:11%