一介の鷹匠(たかじょう)から武家である水越平正(みずこしひらまさ)に見染められて小姓になった惺眞(しずま)は、母の法事のために久しぶりに伴の紅市(くいち)を連れて江戸の街に出る。
菩提寺で修行を積む若き僧侶の文覚(もんかく)は惺眞を見てあ
まりの美貌に「弥勒菩薩ではないか。」と驚き、近ごろ塞ぎごみがちだった惺眞の心を軽くさせる。惺眞は自分が仕える平正の寵愛が他人に移ってしまうのではないかと不安がっており、紅市も惺眞の様子に心を痛めていた。
帰り際に不注意から転んでしまった惺眞は文覚に介抱され、やさしく穏やかな反面激しさのある文覚にどこか懐かしい感情を抱く。自分の屋敷に戻ってからも文覚の言葉を忘れられない惺眞のもとに、おりしも平正が訪れてかき抱く。
平正に抱かれながら、惺眞はどこかで文覚の面影を求めていた。
「あえかなる、君へ」https://novel18.syosetu.com/n7724gj/の番外編ですが、こちらの話だけでも読んでいただけます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-14 20:52:48
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会話率:54%