1975年(昭50)4月、大学を出た山岡弘明は三重県四日市の造船所に就職した。ギリの卒業単位で卒業した弘明が設計技師を目指すのだが、その前途は甚だ多難だった。だがそれにも増して、高度成長を続けていた日本がオイルショックという未憎悪の経済混乱
に巻き込まれ、世情は混沌とする。そんな中で就職した弘明、いったい彼の前途に立ちはだかるものは……。
物語は、造船所が時の宰相に絡む事件に遭遇し、設計の緒方部長が奔走するのだが、その大きな渦の中に弘明も巻き込まれていく。驚くほどの初任給をもらう弘明だったが、入社1年後には残業カット、一時帰休、そしてボーナスカットと続き、会社は混迷を極める。雲の上で生じた風雲は、ある日突然地上に生きる者の平穏な生活を奪い、否応なく荒れる海に放り出すのだった。
(エブリスタ・アルファポリス掲載)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-12 18:00:00
104498文字
会話率:29%
1980年4月、ソウルの春は束の間と終わり韓国は学生民主化運動と労働運動に騒然とする。
1980年5月17日、政権を握った軍部の戒厳司令部が、全土に戒厳令の拡大措置を発動する。
それから1988年のパルパル(88)オリンピックまで韓国は戒厳
令下に置かれることになる。
深夜のソウルの街で、日本人商社マンが若い女性と偶然に出会い、そこから物語は始まる。
高度成長からバブル期へ至る時代、マリン事業を展開する企業と、そこで働く中間管理職。
男と女の愛、会社と個人の鬩ぎあい、人は何かを得る為に、何かを捨てねばならないのか。
男の止めどない愛欲と出世欲、世知辛い資本主義に翻弄されるサラリーマンの物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-07 11:44:39
175457文字
会話率:31%
「長崎忍ぶ坂」の第2部。
昭和50年、大学を卒業して造船所へ就職した弘明は、念願の設計部へ配属された。
造船所は、三重県四日市の新日本造船(株)。陣場一族の経営する新進気鋭の会社。
だが大型遠洋漁船で急成長した新日本もオイルショックで暗転。
会社再建の途上。
金を湯水のごとく使う陣場と、技術と組織を固めもの造りを目指す設計部長の葛藤。
そして学生から社会人へ、弘明の歩み出した人生の中で味わう喜びと悲哀の物語。
戦前、戦中派、そして戦後生まれが同じ道を歩む中で、それぞれの生きる道とは!
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-10-17 11:01:17
65604文字
会話率:44%