「魔王、俺はお前の幻影には惑わされない」
俺の幻影を見破りそう言い放った騎士の顔があまりに泣きそうで、内心酷く狼狽したのを覚えている。そんな泣きそうな顔をするくらいなら、俺の幻影を破らなければいいのに。そうすればずっと幸せな夢を見ていられる
のに。
初めは純粋にただの興味本位にすぎなかったのかもしれない。それが恋慕にも執着にも似た感情へと変わっていったのは一体いつからだったか。勇者を落とすための手段にすぎなかったはずが、いつしか目的がすり替わり、騎士を落とすことに躍起になっている自分にようやく気が付いた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-10-29 17:00:00
3454文字
会話率:13%