あたしは7対3の割合で男の多い世界に落ちた。
名を『ロンゴメリア』という。
「マユキ、契約しないか?」
その男はあたしを一瞥したあと少し考えてから「私はね、女が大嫌いなんだ。キミの生活の面倒をみるその代わりに、契約上の結婚をしてはくれな
いかい?」と満足気に微笑みかけてきた。
多重婚のあるこの世界で、クレイグ・ウォッシュバーン公爵の提案に、右も左も分からないあたしは、ゆっくりと頷く。
☆
花街に入る入り口で子どもが引きずられ暴れ叫んでいる。
10歳前後の子どもが、多くここに連れてこられていた。
ちょうど花街に売られていくところなのだろう。
「……ねぇキミ、あたしと結婚する?」
私は足を止めてその子どもに声をかけた。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-12-13 00:54:59
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会話率:27%