帝都、灯京。元号は大正となり、次第に異国との戦禍の気配が近づいてきている。灯京帝国大学で精神医学を学んでいる俺は、現在私宅監置の資料を取り纏めている。私宅監置とは、江戸頃まで遡る座敷牢といった風習を、法制度化したものであるというが、近代化
を謳うこの国を思えば涙が出てしまうくらい劣悪なものだ。端的に言えば、精神病者――古い言葉で言えば瘋癲人などを、自宅で看るという制度である。調べる理由は、出身地の村における記憶が端緒だ。 ※2021年に頒布された座敷牢アンソロジーへの寄稿作品の再録です。灯京という場所を舞台に、大正~現代の間を輪廻転生するホラーです。他サイトにも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-04-11 00:22:53
19580文字
会話率:62%
6年間ひっそりと付き合ってきた同性愛者の鏡良(みら)と冬輝(ふゆき)。
長年の交際の末、同棲生活をスタートさせた。
お互いに新生活に慣れてきた頃、鏡良に突然降り掛かった『失声症』という病。
いつ終わるかわからない闘病生活が幕を開ける。
最終更新:2016-01-21 13:32:06
1647文字
会話率:39%