先進国トレメンデ人、燃えるような赤毛に深い深い菫の様な紫の瞳、抜けるような白い肌を持つ、恐ろしく優秀な人間。そう、そして、なにより、彼らは「完全体(完全機能雌雄同体)」だった――。地下室でおびえた男のあわれっぽい鼻をすする音が響いている。冷
たい石畳の上で両手首を拘束されて白い息を吐き出している上等な男、それも完全体のトレメンデ人を嬲る亜人の男たちが居た。
「――つまり、おれは、おまえが言うところの寛容な男であるので……、情け深いのだよ。ありがとうと言って構わないぜ。うん、どういたしまして」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-12 01:16:05
8854文字
会話率:20%
羽種とよばれる、雌雄同体の観賞用生物がいる。最高級の観賞用生物は、富と権力の証だった。
人のような体に、ゆたかな翼と羽をいくつも持ち、美しい顔立ちは、その埋もれる様な翼で、飼い主であっても見る機会はそう恵まれない。彼らは攻撃的で、誇り高く、
どうしようもないほど美しく、人間になかなか心を開かない。
薄暗い地下で、羽種がすすり泣いている。男の声が響く。
「では、この美しい鳥の期待に応えたい殿方は? 雌として、しっかりと発情した貴重な羽種ですよ」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-18 16:22:57
5316文字
会話率:16%