パトリシアは本日も人知れずため息をついていた。
何故なら、ホールには身なりの良い若い女性たちが唸るほどいて、ニールを囲んできゃあきゃあと声を上げていたからだ。
(またこのパターンなのね……)
パトリシアは諦めたように小さく笑って、立食か
つビュッフェ形式の食事やデザートを物色することにした。
すると、「お一人ですか?」と声をかけられる。パトリシアが、お皿を片手に美味しいローストビーフをもぐもぐしながら振り向くと、優しげな金髪碧眼の青年は、ふっと笑顔になった。
これは、若い女性たちに愛想よく振る舞う愛しい婚約者(大商会のイケメン副社長)を黙認していたけれど、本当は寂しいと思っている伯爵令嬢が、初対面の王子様に一瞬でそれを見抜かれ、優しくされて、ちょっとときめいてしまうお話。
※単品でお楽しみいただけますが、「セフレに愛人と息子がいたので黙って身を引いたら、追いかけられて告白された件」と同じ世界観かつ数日後のお話です。
※直接的な描写はありませんのでR15くらいの内容ですが、シリーズ全体としてR18なので、このお話もR18にしています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-26 15:13:29
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会話率:41%