幼い頃に事故で両親を亡くした蓮沼響(はすぬまひびき)。愛する人を突然奪われた喪失感から、これまで誰とも深い関係性を築けずにいた。
大学入学直後、しつこいサークル勧誘に遭っていた響に、同じ薬学部の堂馬頼人(どうまらいと)が助け舟を出す。
二人
の距離は徐々に縮まり、響は頼人へ密かに想いを寄せるようになるのだった。
想いを伝えられぬまま三年になり、二人は秋から配属になる研究室の見学に行く。出迎えてくれたのはポストドクターの加賀見(かがみ)。親切で熱心な加賀見に誘われ、響は加賀見の一人暮らしのマンションに研究室の話を聞きに行った。出されたコーヒーを飲みながら加賀見の話を聞いているうちに、響は身体の異変を感じ始め……。
拙作『俺の名前を呼んで』の蓮と啓太も登場。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 21:30:00
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会話率:51%
高校時代にゲイバレしてイジメに遭っていた啓太は、大学に進学したら周りに自分がそうだと悟られないよう過ごそうと決めていた。一方のクールで皮肉屋な蓮は自分はゲイだと公言して憚らない。
相反する二人は偶然にも、大学の敷地の裏庭で最悪な出会いを果
たす。
「別にあの時のこと口止めする気もないし隠す気もないから。アンタの好きなようにしたら?ゲイの痴話喧嘩見ちゃったって。入学早々話題に事欠かなでしょ」
「そんなこと言いふらすつもり全然ないよ。二人のことだし。それに……俺も、そうだから」
自分もゲイだと告白した啓太に一瞬表情を変える蓮。二人の距離は不器用ながらも少しずつ縮まっていくのだった。
様々な葛藤を抱えつつ、互いに惹かれ合い求め合う二人の、切なくも甘い6年間の軌跡。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-06 21:30:00
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会話率:52%