――この役目は、なんとしても果たさねばならない。命に換えても。
奸臣に陥れられた主を救うため南沙迦陵は王からの献上品との名目で、壮菱帝国皇帝、嘉史白刀の前に参上した。だが、体内に隠した密書を取り出すためには、皇帝と二人きりにならなけれ
ばならない。
「人払いとな。それで私をたぶらかす気か?」
己の命をかけて、二人きりでの対談を望む迦陵を白刀は冷たいまなざしで見下ろした。しばしの猶予を与えられた迦陵だったが、事実が証明されるまでの間、白刀は迦陵を愛妾として扱うと宣言する。
迦陵の主である祇嗣国王、庚天河は重大な秘密を抱えていた。この秘密が知られたならば、天河は国王の地位にとどまることはできなくなる。
――守らねばならない、この秘密だけは。
主を思うがゆえに閉ざす唇。初めて愛を知ったゆえに揺らぐ心。
氷の皇帝と偽りの妾妃が真実の愛にたどり着くまでの物語、ここに開幕。
※アルファポリスさんと同時連載中折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-10-06 00:00:00
106245文字
会話率:54%