一栄会と黒谷組の抗争から四年が過ぎようとしていた。
この大事件で双方の組長、多くの構成員が犠牲となった。
現在は一栄会の五代目会長の母、百合子によって、関東一帯は無事治められていた。
黒谷組は組長とその息子、翔の死亡により以
前のような勢いはなく、弱体化されていた。
その為、世間は穏やかな日々が過ぎていた。
当時の大事件を思い出す者は、もうほとんどいなかった。
ある日、高御堂法律事務所に一本の電話が掛かってきた。
依頼主は桜宮若菜。
高御堂法律事務所所長の妻、高御堂(たかみどう)友(ゆう)香(か)の担当産婦人科医である。
若菜からの四年ぶりの突然の電話。
友香は何事かと驚く。
依頼内容は、若菜の経営するクリニックでの赤ん坊の取り換え事件。
産科クリニックにとって絶対にあってはならない事件に困っているという。
その為、以前若菜のクリニックで出産した弁護士の友香を頼っての依頼電話だった。
依頼内容に驚いた友香だったが、お世話になった若菜の依頼を引き受けることになる。
この案件を調べていくにつれて、若菜にも友香にも四年前の事件が大きく関わっていく。
そして相手方の弁護士、神谷。
神谷は、友香が以前愛した龍治にどことなく似た面影を持っていた。
そんな神谷と戦うことになった友香は気まずさを感じながらも、若菜のために誠心誠意戦う。
若菜と友香の過去をも巻き込んで、この事件が明らかになっていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-04-28 19:00:00
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