呪いに守られた令嬢が居る、それはチュザーレ帝国ではとても有名な噂だった。
愛する者を破滅に追いやる呪いにかかった悲劇の令嬢、レーミア、それがその呪いの持ち主の名前だ。
今まで彼女のせいで、彼女の友人や親族、婚約者が皆非業の死を遂げているか
らこそ、その名前は帝国中に轟いていた。
だが、本来ならば、呪いがかかっているなど不名誉な話として隠すものである類に違いないそれを、
噂の張本人である辺境伯の令嬢レーミアは、誇りとしていた。
何故ならば、その呪いがあるからこそ、父を喪ってからもレーミアは今日まで生きながらえる事が出来たのだと知っていたからだ。
レーミアは呪いを受けた幼少期に、その呪いをかけた主に、こう言われていた。
「その呪いがそなたの盾となり、剣となり、君と愛する人を守るだろう」と。
―――そう、本当のその呪いの効果は、レーミアを愛する者を破滅に追いやる呪いではなく、レーミアを傷つけようとする者を退ける祝いだったのだ。
◆◆◆
「この帝国は、本日より俺の物となる」
だからレーミアには分かっていた。
レーミアへの小さな悪意や、害意にも過敏に反応し発動する呪いが一切発動しない現状。
その日、帝国を瞬く間に攻め落とした、自身を拘束したその侵略者が、本当は悪い人間ではないという事を。
まさかその出会いが、レーミアの運命を変えると事になるとは、その時のレーミアはまだ気づいていなかった。
みのたえ企画「令嬢アンソロ」参加作品。
【必須シーン】①一つ言う事を聞く②手を繋ぐ
【必須台詞】優しくしないで、または、優しくするなよ
★傲岸不遜な侵略王×辺境伯令嬢の固定CPです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-03-08 19:01:05
5635文字
会話率:12%