私が27歳の春にその狂おしいドラマが幕を開いた。
二十歳の祝いを兼ねた入所式が障害のある者達が暮らす施設で執り行われた。
「なんとも若い男と女が入ってきたものだ。まだ子供じゃないか、尻に毛は生えているのかよ」そんな思いで式典を見ている私
。
長すぎる施設管理者のどうでもよい挨拶が終わって二十歳になったばかりの初々しい男と女が自己紹介の挨拶をはじめた。
「ぼくは山岸哲といいます。今日から皆さんの仲間に入れて頂きます。よろしくお願いします」と男子が言うと職員からマイクを向けられた女子がモジモジとして感じで「私は牧野由香と言います。よろしくお願いします」と小声で短い挨拶をした。
生活課課長がしめの挨拶で式は無事終えた。
これから一生をかけた長い長い施設生活が若い2人を待ちかまえているなだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-19 01:32:12
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