町から遠く離れた牧場で、モカは父と二人きりで暮らしている。静かで、風の音と動物たちの鳴き声だけが耳に届く。
地下室には、特別な“豚”がいる。ココと呼ばれるその豚は、革の拘束具に全身を覆われ、四つ足で生きている。目はなく、口は開きっぱなし。
モカにとって、ココはただの“家畜”であり、その飼育は日課の一部だった。
けれど14歳になったある日、モカの中に微かな違和感が芽生える。
「この豚は、もしかして──」
やがて彼女は豚の正体、父の異常性───それらに気が付きはじめる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-30 15:07:30
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