●コロニアル・ブルーに輝く海、頬(ほほ)をなでる熱風。猥雑(わいざつ)な街にあふれる様々な言葉。 ”死”だけをみつめ、凄惨(さいさん)な写真を撮り続ける報道カメラマン小田切を惹きつけたのは、そんな沖縄の、照りつける太陽だったのか、揺らめくネ
オンだったのか――。
「小田切、オレを撮ってくれよ」
男を相手に自分を売るストリートボーイ領。その孤独を閉じこめた瞳の奥に、強烈な“生”が光るのを、小田切は見た。
なにもかもが眩(まぶ)しい沖縄で、痛切な愛の物語が始まる。
●著者の原田千尋(はらだちひろ)は、日本で70年代の耽美派少女漫画、初期BLをけん引した萩尾望都、竹宮恵子らが連載をしていた90年代の伝説的マガジン「JUNE」で人気を極めた作家のひとりで、当時の本職はカメラマンだった。
彼の多くの作品は角川スニーカー文庫やいくつかの版元を通じて発表されベストセラーとなった。台湾、香港でも翻訳刊行され、現在の世界的なBL人気の基盤を作ったともいえる。
●本作品は、彼が1991年に発表した、沖縄を舞台にした初の長編書き下ろしです。ここでは、全5章(約10万文字)を18回に連載形式で公開していきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-19 17:00:00
69250文字
会話率:30%