私が四九歳を迎えた年のこと。
若い頃より仕事仕事の,寧日の無い日々を過ごしていた私でしたが,常日頃より抱いていた失ったものに対する潜在的欲望が堆積し,日を追うごとにその欲望が萌芽し始めていることに気付いていました。
そうしたある日,ふと
したきっかけでまだ幼さを残した一八歳の少女と出会い,会ったその日にめくるめく恍惚のひと時を過ごした私は,会ったその日から彼女に恋情を抱き,彼女も亡き父親を彷彿とさせる私に慕情を抱き,その慕情が恋情に変化していきます。
二人は自身が失ってしまったものをお互いの中に見出し,求め合い,その後も毎週のように逢瀬を重ね,濃厚且つ淫奔に互いの愛を確かめ合い,急速に惹かれ合っていきます。
ところが,二人があまりにも急速に接近し過ぎたことが悲劇を生み,やがて砂を噛むようなあっけない終焉を迎えるという物語になります。
これは私が実際に体験した出来事に若干の脚色を加え,小説化したもので,私の同世代が抱いている性的欲望と恋愛願望の本質,そして愛情とは何か,恋情とは何か,セックスとは何か,これらを筆者の観点で捉えた力作になります。
私が持っている恋愛観,性的願望/欲求の真理,また作中に登場する彼女のような若年層の女性の心理を,彼女との濡れ場シーンを通して赤裸々に訴えています。
従って,どうしても濡れ場シーンに多くの紙面を割く必要があり,その描写も細密となることから,一見すると官能小説のような印象もありますが,この作品の狙いは卑俗な性描写にあらず,純粋に中年男性の性愛を追及した,濃厚淫奔な中にも,清潔感のある作風に仕上げているつもりです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-01-05 19:04:59
50428文字
会話率:19%