サードアイアン社製のバイオロイドは「ヴィノ」と呼ばれ、
他社が生産する無機質なアンドロイドと一線を画している。
ヴィノは性産業からその人気に火が付き、今では裕福層向けに一般モデルが市場に投入されていた。
一般社会に徐々に浸透し、「ヴィノ」
の人権尊重を訴える団体が現れるまでに普及が進み始める。
しかし、それは表面上の建前でしかなかった。
人間同士では決して見せることのない想像を絶する醜悪な欲望。
人間はその際限のない欲望のはけ口として「ヴィノ」に価値を見いだしてたのだった。
そして、人間は人ではない「ヴィノ」に対してその欲望を少しも隠そうとしなかった。
人間は「ヴィノ」に理性を向ける必要はないと考えた。
理性という生皮を剥いだ醜悪な肉欲。
脈打ち、血の滴る、剝き出しの欲望を「ヴィノ」にぶつける人間。
ありのままの人間の本性を見た「ヴィノ」は何を想う。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-10 18:59:03
5773文字
会話率:0%