認知症の進行を遅らせる薬に「アプセプト」という製薬がある。
そのアプセプトという薬は薬価が高価だ。つまりは、1回分の薬の値段がやたらと高いのだ。それにつけ込んで儲ける医師がいる。
主人公の心療内科医、桶口医師もその典型的な1人だ
。
彼のバックには医療グループがある。「尽誠グループ」というクリニックと総合病院と精神病院と老人ホームからなる医療グループだ。この医療グループは完全なる収益マシーンを確立している。それは、健康な老人すら認知症高齢者に仕立て上げる完璧な収益マシーンなのだ。
そのシステムに抜かりはない。
まず、心療内科のクリニックで認知症に仕立て上げ、治療のために総合病院へと送り、そして、老人ホームに収容して、認知症老人として最期を迎えさせる。
で、しこたま儲ける。そうした一族経営の完璧な「ぼろ儲け」システムが確立していた。その一族とは桶口家だ。
ある日、山田優美というスナックの美人オーナーママが、その一族経営の心療内科を訪れる。患者は、美人オーナーママの母親だ。
その母親は「息苦しい」という症状で受診するわけだが、その美人オーナーママの母親は認知症患者に仕立て上げられてしまい、そして、初診から2年後に桶口一族経営の老人ホームで死去する。
物語は、この母親の死から始まる。
ある日、その美人ママは、薬剤師として、母が初診で受診した桶口一族の心療内科クリニックを訪れる。
さて、この美人ママの目的は? ただし、念を押しておくが、その目的は復讐などという単純なものではない。
(この小説に登場する「尽誠」を冠した病院名等は実在の企業・団体等とは無関係であり、あくまでも架空のものです)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-09-20 22:00:00
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