マルスリーヌ・ジュノーはイライラしていた。……最近の学院を包むような浮ついたピンク色の雰囲気に。「――卒業が近いから、なんだっていうのよ」彼女は学院の最終学年である4年生であり、あと3ヶ月で卒業というタイミングだった。「学院で婚約者を見つけ
る」という目標を掲げている生徒たちは最後のチャンスだとばかりに社交に励んでいるようだったが、マルスリーヌはその輪に入ることはなかった。彼女の姉と兄はその美しさで学院内の有名人となった人物だったが、マルスリーヌは上の2人と似ていなかった。そのことから自分が『ジュノー家のハズレ』だと噂されているのを聞いたことがあるのだった。「ここで、私を選ぶ人なんていないでしょ」恋愛を自分から遠ざけた彼女は、一人静かに勉強をできる場所を探して歩いていた――――恋愛を避けて一人でいたいと考えている令嬢 × 彼女を揶揄うように隣に居座る優美な令息――……ふんわり設定になります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-12 17:00:00
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会話率:33%