かつて竜人族は、人間にとって脅威だった。人の姿を取れば知略でかなわず、竜の姿に変じれば天を翔け全てを焼き滅ぼす。長く彼らは世界の支配者だった。——だが、いつしか人間の文明は彼らを凌駕し、その制御方法を確立させた。人の姿を保つことができず、知
性を失った凶暴なドラゴンとなり果てた竜人族は、翼を斬り裂かれて活ける砲台として砦に囚われている。
雪融けの頃、国境の砦に一人の少年が連れて来られた。砦を護る若い竜の世話をする、それが少年に与えられた使命。だが少年は、竜人族の美しい青年に心を奪われ、いつしか彼の自由を願うようになる。それが街の崩壊を意味すると、分かっていながら。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-03-01 09:00:00
174574文字
会話率:26%