定員を超えて詰め込まれた部屋。
暴言と暴力が飛び交う夜。
「なんで俺が保護されてるの?」
「やめたい」と言えず、泣いた洗面所。
それでも職員たちは、今日もまたドアを開ける。
虐待、ネグレクト、家庭の機能不全。
子どもたちの痛みが、毎日のよ
うに押し寄せる一時保護所。
この連作短編集は、そんな現場で働く支援者たちの物語です。
感情を押し殺して関わる日々。
理不尽な制度に打ちのめされる夜。
子どもを支えながら、自分の限界と向き合い続ける。
けれど、そこに確かにあるのは——
「それでも、見捨てたくない」という思い。
正しさではなく、寄り添う力を。
完璧さではなく、折れながら立ち上がる強さを。
“支援する側”の声にも、耳を傾けてほしい。
この本は、声にならない声を届けるための物語集です。
現場に生きるすべての支援者へ、そして支援を知らない誰かのもとへ。
あなたに届くことを、願っています。
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※本作はフィクションであり、登場する人物・団体・出来事はすべて架空のものです。ただし、児童福祉の現場で起きうるだろう課題や葛藤をもとに着想を得て描かれています。実在の団体・個人とは一切関係ありません。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-07 23:23:49
27012文字
会話率:33%