密かに憧れていたひとつ年上の立華雅(たちばなみやび)16歳は、許嫁(いいなずけ)であり本家の次期当主と目される南都武史(なんとたけし)の妻となった。僕は南都一族の末席に名を連ねる南郷明人(なんごうあきと)というちょっと内気な少年だ。
告
白も出来ずに失恋して半年後、南都家主催の新年会に託(かこつ)けて武史様から呼び出しを受けた。なんでも極秘の頼み事があるというのだ。
そして頼み事というのは、未だ処女であった雅を抱いて種付けして欲しいということだった。武史様は幼少期に患(わずら)った熱病により生殖機能を喪失していたことを周囲に隠しているという。
世間体の問題も然(さ)ることながら、南都家の家訓では嫁いで来た女性が3年を経過しても妊娠しない場合、石女(うまずめ)に認定して離縁しなければならないという。そうなった場合、雅は処女であるにも拘らず、無能者として実家からも見捨てられ、とある山奥の尼寺に押し込められて悲惨な末路を辿ることになるという。
雅を救うためには、彼女を妊娠させる必要があったのだ。
同時に僕は、憧れていた雅を相手に童貞を卒業することとなった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-04 07:51:07
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