【全2話完結・性描写あり】
「人間は、ほんとうに──うるさい」
千年戦争の主役にして、“美しすぎる魔王”と噂される黒焔王バルザ。
日々の政務に飽き飽きしていた彼の静寂を破ったのは、「布団が臭い! 湿気が多い! 夜の遠吠えがうるさい!」と喚く
、人間界から送り込まれた人質ならぬ“親善大使”──文句ばかりの王子様。白銀の髪と狐耳を揺らす青年、リュシアン。
本来なら恐れおののくはずの魔王の前で、彼は涼しい顔でパンをかじり、魔界の文化に興味を示す。
「魔族って、話も通じるし、思ってたより……普通なんだね」
人間と魔族。交わるはずのなかった種族、千年積み重なった憎悪と誤解。だが、彼の無垢な一言が、魔王の心を少しずつほどいていく──。
けたたましくて騒がしい、でもなぜか目が離せない人間界の王子。その笑顔の裏に隠された孤独と決意を知ったとき、魔王は気づく。
これは――国や種族を越えて、愛で殺したいほどに惹かれる恋物語だと。
可笑しくて、切ない。心と歴史が静かにほどけていく、異種間ボーイズラブ幻想譚。
魔王:世襲制ではない。魔力が1番強い者がなる。
バルザ:当代の魔王。ヘタレ。実は指パッチンで人間界を滅ぼせる程の魔力の持ち主。
リュシアン:人間国の第八王子。狐の獣人との混血。親魔族派。好物:動く水菓子、スライム特製山葡萄のトースト、油揚げチップス折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-05 21:50:00
23578文字
会話率:32%