舞台は、アイドルが社会の頂点に立つアイドル至上主義の世界。
男女比は1対2。美貌と才能に恵まれた男達がハーレムを築く、貞操観念が逆転した歪な価値観が支配する中、“アイドルである事”こそが最も尊い生き方とされ、社会は推し活によって回っている。
そんな世界に転生した少年は、かつての人生で何者にもなれなかった「ただの男」であった。
アイドルを夢見るも、歌は音痴、顔もブサイク、家柄も無い。
唯一残ったのは、“強い意志”――それだけである。
整形を繰り返し、ダンスに全てを賭け、何もかもを犠牲にしてきた彼が挑むのは社会そのもの。
「画面の向こう側に行かなければ愛されないだなんて可笑しくないか」
そう問いかけながら、
「誰でも良いから愛されたい」
その想いを胸に仕舞い込みながら、
「誰か俺を好きに成れ」
その叫びで喉を枯らしながら夢に掴み付く。
これは、才能も美貌も地位も名誉も何も無い男が、
“推されるに値する存在”を目指す物語――。
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本作は、単なる“アイドルもの”では無い。
「社会が求めるアイドル像」への根本的な疑義、
「才能・容姿・遺伝子」によって定まる序列に対する反抗、そして、「意志の力」がそれらを凌駕出来るのかと云う実存主義的な構造主義批判でも無い。
この物語は、AIの進歩により知的格差が狭まる一方で拡大していく承認格差、いわば“現代社会の幻想”と戦うアンチテーゼであり、美しさや才能に寄りかかる者達に対する痛烈な風刺である。
本作は「承認欲求」を単なる感情では無く、「現代の社会構造そのもの」として扱っている。
SNS・ランキング・プロデュース制度・整形・ファンビジネス——いずれも“誰かに選ばれる事でしか生き残れない”という、生存競争の現代的変種である。
それに抗う事すら「承認を諦める覚悟」が求められる世界で、それでも人はどう生きるべきであろうか。
一人の少年の破滅を通して真正面から描く。
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現在、本作の世界観を原作として、
さばえ近松文学賞向けに玲王先輩のIF過去編を、
ネトコン13向けに全年齢対象版を、
群像新人文学賞向けに全文改稿したものを作成中です。
さばえ近松文学賞向けの作品は2025年10月頃の落選が決まり次第、Nolaノベル・アルファポリス・カクヨム・ノベルアップ+・pixiv・ネオページ・テラーノベル・エブリスタと同時に公開予定です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-11 21:00:00
36581文字
会話率:25%
20250113
R18(ノクターンノベルズ)からR15にして一般にて再公開予定。
内容に変更はありません。
再公開後、運営から通知がなければ、『一旦削除(宇宙はそんなこときめてない)』は完全に削除します。
最終更新:2021-05-02 22:00:00
51408文字
会話率:0%