アルフォンソ公爵家には世継ぎがマテウスしかいない。それでも分家に従兄弟のルロイがいるし、叔父達だっている。もしものことがマテウスにあったとしても、公爵家は大丈夫――そう、思っていた。
それでもマテウスは公爵家の跡取りとして、母と祖父の期
待に応えられるように努力してきた。公爵家のために、母のために――。
そんなマテウスだったが、ある日祖父が母に話していることを盗み聞きしてしまい、平穏な日常が音を立てて崩れ去ってしまう。
『お前の胎がアルフォンソ公爵家の希望だ』
母、ナディアは祖父、叔父、そして――公爵家のために、母はアルフォンソの血を次ぐ子を孕むべく、抱かれ続ける。
――息子、マテウスが覗き見ているとも知らずに。
※注意
この物語では主人公の本懐(=母と結ばれる)が遂げられることはありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-28 12:00:00
48379文字
会話率:55%