時は大正浪続く華やかな昭和初期。
恐慌で没落した貴族の和泉は、家柄を買われるように結婚をしたが、年上の義弟・英嗣に惹かれていく。
夫は新婚早々から冷たく向き合おうとせず、大姑のきつい言動で苛まされる日々。英嗣の笑顔と優しさだけが、暗く塞い
でいる孤独な和泉の心を救ってくれていた。
英嗣さんは義理の弟――和泉は気持ちに蓋をした。
ある夏の酷く暑かった日の夜、あまりにもつらい出来事に和泉はとうとう泣いてしまう。そして英嗣が囁いた。
「しがらみなど関係なく、和泉さんを必要としてはいけませんか?」
必要とされた嬉しさと、癒えない寂しさ、押し殺していた恋慕……。和泉は英嗣に堕ちてしまう。
瀟洒な洋館の邸宅で、華やかな帝都で続ける不埒な愛人関係。
偽りの幸福の中、関係は突然終焉を迎える。
夫との結婚も、英嗣との日々もすべて偽りだったのだ――。
※昭和初期(戦前)
アルファポリスからの転載です。加筆修正が多いですが、話の筋はそのままです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/428150131/161178685折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-11-07 22:18:33
113948文字
会話率:43%