いまいち売れない正統派ロックバンド「ダラス」の四人組。
バンドリーダーでベースを担当する高梨遊行、可憐な助成ギタリストの片山翼、あだ名通りの大男であるドラムねジャンボ、そして天才的カリスマ・ボーカリストの秀丸。
彼らはいつの日か自分た
ちのことが世に認められ、その奏でる音楽が広く愛されることを夢見つつ、日々、悪戦苦闘のバンド活動をつづけている。
そんな時、ダラスのメンバーたちはバンドマネージャーのふとした発案で応募した大手レコード会社のオーディションに合格し、武道館という大舞台に立つとともに、メジャーデビューを飾るチャンスを手に入れる。
しかしながら、辣腕プロデューサーMにダラスの音楽性をことごとく否定された秀丸は、Mとの対立を深める一方、彼に対する不満と憤りを募らせながら、しだにバンド内でも孤立していく。
そんな折、彼のことを陰ながら支えてきた恋人の鷲尾朝美が、病室を苦にして自死同然の死を遂げてしまう。
恋人を喪って悲しみに暮れる秀丸。さらにダラスの音楽活動にも方向性を見失った彼が、日比谷・野音の最後のライブで、いかなる異常行動に出たのか?
かつて、ロック音楽に本気で夢と希望を託した少年、少女に捧げる青春の挽歌……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-26 18:59:23
41472文字
会話率:31%