「どうして? そりゃ簡単だ。人類側がどうしようもない程に腐ってるからさ」
――〝不倶戴天〟。
異世界へ召喚でなく、現界する形で降り立った青年・片道幸成の勇者としての一生は、極めて波乱万丈でありながら、悲惨な結末を辿るものだった。
打倒
魔王を掲げ、死に物狂いで異世界を駆け抜けた。だが、待っていたのは魔王の死。空中分解しつつあった魔族を纏め上げ、人類側へ干渉させないようにする事で互いの平穏を築いた彼であったが、人類側から裏切り者と、叛逆者と虐げられる事となる。
その末、彼の仲間であった者、友人、彼を現界させた召喚師どころか国諸共壊滅させ、完全に魔王側へ着いた彼は、魔王としての生を歩みながら、己が埋没したらこの国は不味いと悟り、不老不死に。
そうして彼は、最愛の従者と共に魔王として君臨し、今日も今日とて平穏に、何処か淫靡に暮らしていたのだが、一つの報告から、一転。
――魔王の人類への叛逆が、静かに幕を開けた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-09-24 22:13:16
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会話率:46%