「ねえちゃん、喉渇いただろう?」
いつの間にかドラマーの黒松が、手にしたビールビンを女に与えていた。
女はゴックンゴックンと飲み干した。
「うんまいかあ?」
「うん、おいし」
年長のバンマス、ジミー鍋島が尋ねた。
「おい、黒松、お前ビール、どっから持ってきたんだ?」
「ははは、拾ったビンに小便入れて飲ましてやったのら」
ひどい奴である。
いつの間にか黒松もラリっているのだ。
ラリパッパになってる時の黒松は、白昼堂々と万引きをしたり、やくざに喧嘩を売ったり、行動が目茶苦茶であった。
心配したジミー鍋島が善行に言った。
「おい善行、早くねえちゃん連れてってくれ。今夜は『K』で始発待ちするから。もし黒松がトチ狂ってお前んちに行っても、絶対入れちゃ駄目だぞ!」
エレクトーン教室の美人先生と婚約が決まっっているジミー鍋島は、善行のアパートへみんなと女が行った場合、ざこ寝をするしかないのだが、輪姦にでも発展したら大変困ると考えたのだ。
ましてや黒松はラリパッパなのである。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-27 11:34:15
19720文字
会話率:27%