人々は皆、天から「第二の性」を与えられる――
虫(インゼクト)、樹液(ハルツ)、真菌(ピルツ)、ノーマル。
そして、彼らは与えられた性に抗うことはできない。
ハルツに分化したあの日、樹トワは全てを失った。
家族も、自由も、そして名前も
……平穏な日々と共に全て奪われ、代わりに「一条トワ」という名前だけが与えられた。
とある理由で訪れた「虫籠」と呼ばれる研究施設で、彼は美しい青年と出会った。
「タテハ」と名乗るその青年の歳不相応な無垢であどけない笑顔。その笑顔はどこか懐かしく、トワの失った「大切なあの子」を思い起こさせた。
初めて会ったのに……
知らないはずなのに……
だけど何故か彼の笑顔に惹かれてしまう。
彼と自分は交わるべきではないのに……
匣庭に囚われた青年と全てを奪われた少年
交わるはずのなかった二人の視線が重なった時、止まっていた時間がゆっくりと動き始める。
☆毎週月曜日更新予定!
⚠️この作品には以下のような描写を含む章があります
・施設での隔離・監禁描写
・一部、性的・精神的な搾取を連想させる表現(曖昧に処理/直接描写なし)
・未成年時代の心的外傷/自己嫌悪に関する内省
いずれもフィクションであり、必要以上にセンシティブな描写は避けていますが、苦手な方はご注意ください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-04 01:32:52
3629文字
会話率:32%