この物語の主人公であり、純血希少種である彼の話をしよう。純血希少種であるがため、彼はなんでも手に入れることができる。のにも関わらず。
彼は。飢えていた。欲していた。求めていた。乾いていた。望んでいた。渇していた。喉から手が出るほど、切望し、
熱望し、渇望し、希望し、所望し、待望し、仰望していた。
ずっと現れないその存在をただただ希(こいねが)っていた。
その彼がようやっと唯一を見つけた。そんな邂逅。
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この世界の力関係はシビアに種族とその血の濃さで決められている。
その中でも上に立つのが希少種であり、それは当然のことで自然の摂理のように世間に受け入れられる。彼らの力は政治、経済、司法。ありとあらゆる方面まで行き届き、下々のケモノが入る隙もない。
つまりは雲の上のそのまた上の存在。
それが希少種という存在。
希少種のその下に肉食系の種族。
肉食系のその下に草食系の種族。
そしてその種族の中での力関係を如実に表すのが、血の濃さ。
純血であれば強く、雑種であるほど弱い。そんな世界でのあるひとつの御話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-03-21 07:00:00
9809文字
会話率:33%