「――一つ、教えてやる。二十年前、俺がメンヒアで契約した人数は八十だ」
二十五年前、異世界メンヒアへと召喚された相馬遼介は、神様に与えられたわけでなく、元より相馬の家柄特有の〝契約〟と言う一種の能力を以て乱世を閉幕させた。
その末、契約
の全てを切り、勝利の美酒に酔いしれる皆へ何も言わず、元の世界へと帰還した。
中身は四十三、外見は十八の青年が、此度召喚されたのは王を失い、絶望真っしぐらの王国・アーデルハイトだった。
涙を滲ませる女を、絶望へ行くだけの王国を、残った人間を見捨てる事の出来なかった彼は、その力を使う。
彼が行くは、乱世。絶望しかない今回の世界の黎明に、彼は再び口付ける。
〝愛〟を以て、全てを征するマスターの、長い戦が今静かに幕を開けた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-21 00:49:51
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会話率:34%