梗概
「傘寿の回想」
昭和十九年戦火を逃れて大阪から高山線美濃大田に近い山村に疎開した雄平一家は翌年終戦を迎える。父は結核で雄平が中学一年の夏死去する。高校に進むが大学進学は経済的に不可能で、やむなく母の願いを入れてローカルの建設会社の技術
者として働き始める。
時は昭和三十五年、安保闘争の時代である。雄平も安保の影響を受け、日本に絶望感を感じ国外脱出を図るが海外への門戸はブラジルとアルゼンチンしか開かれていなかった。
ケネディ大統領が新設した平和部隊に肖り、建設省が公募した海外青年開発隊に雄平も応募し、翌年入隊する。
技術訓練を受け、若き獅子として成長してゆく。母の死を乗り越えてブラジルに移住する。パラナ州にある訓練所で暴発した不満分子の幹部襲撃に端を発した集団暴行事件、自治会の議長として不満分子の反省を求める雄平、反感を受けリンチを受け、一人聖市に旅立つ雄平。工場に就職して経済的安定を掴むが、過労と精神的トラウマのせいで精神に異常を来たす雄平。それを救う下宿の女主人文子、束の間の安定に救われる雄平だが、文子の娘である由美子の魅力に取り付かれ別離を迫られる雄平、自分の欲望のままに純真な由美子を不幸にすることは出来ないと決心し、隣国アルゼンチンに転進してゆく雄平、美しいブエノス・アイレス、港町ボッカの佇まい、そしてエルサとの運命的出会い、折角ビジネスは起こしたが軍政により挫折、叔母マリアの待つ米国に再度の転進を図る。
一九七二年、エルサは故国に残した子供のことが心配で雄平との間に生れた三つ子を連れてアルゼンチンに帰っていった。一人残された雄平は久美子という人妻と邂逅し、生涯の愛を誓い、雄平は仕事に没頭してゆく。一九八八年オハイオの自動車部品工場で起きた土壌汚染問題に纏わるY社押の見社長や売手の米国社との葛藤。人間不信に陥り、問題解決の後、雄平は米国を離れ、二十八年ぶりに故国日本に帰るが、日本は雄平が出発した昭和三六年度よりも更に荒廃しており、雄平は再び、言葉の解るスペインのマドリッドに逃げ出してゆく。
孤独な一人旅を続ける雄平の前に現れた日本人女性浩美、果たして浩美は雄平の最後の女として幸せな人生を齎してくれるか?そんな危惧を抱きながらポルトガルの国境に向かう二人だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-08 16:22:03
166384文字
会話率:27%
現代社会に起こる様々な性にまつわる物語を描き出していく10章からなる連作短編集。
不倫、デートレイプ、セクシャルハラスメント、盗撮、AV強要、援助交際、集団暴行事件など、
様々な現代的なテーマを取り上げ性に振り回されて生きていく人間の姿をあ
ぶりだしていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-03-19 19:00:00
99740文字
会話率:39%
現代社会に起こる様々な性にまつわる物語を描き出していく10章からなる連作短編集。不倫、デートレイプ、セクシャルハラスメント、盗撮、AV強要、援助交際、集団暴行事件など、様々な現代的なテーマを取り上げながら、性に振り回されて生きていく人間の姿
をあぶりだしていく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-13 19:00:00
99882文字
会話率:39%