俺は将来の就職のことなど全く考えることなく、大学は文学部を選んでしまった。それもこれも、障害者の身の程知らずが、女の多い文学部に在籍さえしていれば、もしかしたら彼女ができるかもと淡い期待を持ったためだった。
だが、現役合格の俺と同じ障害
者の親友に感化され、あろうことか、義足であるにも関わらず女っ気全くなしの体育会の代表格たる空手部に入部してしまう。自分の殻を破る為とか尤もらしい言い訳をしてみたところで、これではとどのつまり、文学部に入学した意味など皆無。結局、彼女など見果てぬ夢に終わってしまった。
どうせ文学部で障害者の俺には真面な就職口などあろう筈がないと高を括って、就職活動などほとんどせず、就職課の斡旋で集団面接に赴き、障害者枠という安易な方法で小倉にある豊前屋デパートに就職を決めてしまった。女の多い人気企業に、今度こそ彼女が出来るかもとウハウハ気分の俺だったが、この障害者枠入社が鬱一歩手前まで俺を苦しめる地獄の始まりになろうとは。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-01-17 14:36:43
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