王都の片隅、かつて「記録管理所」と呼ばれていた地下室で、ひとりの女が静かに暮らしている。
名前はアリエル。元記録官。
誰にも触れられず、誰にも必要とされず、ただ穏やかに朽ちていくだけの時間。
そんな彼女の“壊れた部屋”に、ある日突然、見知
らぬ少女が落ちてきた。
言葉を選びすぎる女と、沈黙に耐えすぎた少女。
ふたりの生活は、やがて呼吸のように重なっていく。
愛と呼ぶには未熟で、共依存と呼ぶにはあまりに静かな、
ひとつの“関係”の記録。
「優しさは、わたしにとって暴力だった」──
名前を呼び合うだけの関係が、世界のすべてになったとしても。
誰にも記録されず、誰にも理解されなくても。
わたしたちは、それでも同じ場所にいる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-04 10:53:49
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