東京郊外の多摩丘陵に住む中学三年のエリナは、イギリス人の父と日本人の母とに生まれたハーフの少女。思い切り外人顔の妹と違い、やや大人しめなタイプの彼女は、自転車で本屋に行った帰り、多摩川沿いの道でアクシデントに見舞われ、通りかかった辻と言うぶ
っきらぼうな中年男性に助けられる。
辻は自転車ショップの店長で、エリナの壊れた自転車の代車に、店のデモ車である〈リドレー・ナイツ〉を貸し出す。そのスポーツサイクルの魅力に、急激にはまってゆくエリナ。しかし辻との初練習走行で、法規無視を繰り返したエリナは究極のダメ出しをされ、酷く落ち込む。
父に諭されたエリナは自転車の法規を勉強し直し、辻にもう一度練習するチャンスをもらい、何とか合格点を与えられる。第一志望の高校に合格すれば、リドレーを買ってもらえる約束にモチベーションを高め、それが功を奏して受験勉強にも身が入り、エリナは翌春無事に公立光陽台高校に合格する。
エリナは光陽台高校で、女子自転車同好会を作ることを決意。同じくハーフのマリン、その幼馴染みの由紀、由紀が紹介した佳那恵の三人を仲間に引き入れるが、発足の条件である五人まであと一人足りない。
仲間募集ちらしゲリラ戦術を、生徒会長の香澄に咎められたエリナは、彼女を懐柔する作戦を実行し、書記の美羽共々引き入れに成功。晴れて女子自転車同好会を結成し、多摩丘陵で練習に励むエリナたち。
スポーツ自転車を通してのルール、マナー、モラルの遵守に始まり、様々なスキルを積み上げて、フィジカル、メンタル両面で逞しくなってゆく。
そんな彼女たちに辻は、五月末に年一回開催される自転車イベント、〈東京ロード〉への参加を打診。メンバー六人でそれぞれペアを組み、四時間エンデューロへのエントリーを決める。
イベント当日は生憎の雨模様だったが、多摩丘練で培ったノウハウを駆使して善戦。
レース中に出会った、ベテランサイクリストらに翻弄されつつも、初心者ながら女子の部で全員十番台へ入る健闘ぶりを見せる。
初イベントも終え彼女らを褒める辻に、同好会顧問への就任を懇願するエリナ。
その承諾を得たことによって、更なるステップアップへの期待に、胸を膨らませるエリナたちだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-12-29 00:00:00
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