加賀美結衣は、ちょっと変わっているがしょぼい特殊能力を持つ以外には特筆することが少ない、平凡な一女子学生である。だから、同じ学部の中条真央が、政財界の次期トップと目されている男達の心を鷲掴みにしたり、それに付随するさまざまな騒動を起こしても
、遠くから傍観しているだけだった。
だがそんな日々は、ある事件を機に終わりを迎えた。
大学部の文化祭の真っ最中に起きた、中条真央への暴行未遂事件。
幸いにも犯人達はすぐに捕まり、スピード解決するかに見えた。しかし「事件は中条真央による狂言だ」との密告があり状況が一転。事態を重く見た者達と学生自治会からの依頼により、結衣は、あまり好きではない自らの特殊能力を使い、関係者達の本心を少しずつ引き出していく。結衣の努力は少しずつ功を奏し、一連の騒動は収束と沈静の気配を帯びていった。
ところが、結衣が事件に時間を割き始めたのとほぼ同時期に、大学部構内外でのトラブル発生の頻度が急激に上がった。なぜなら、結衣が不本意ながら引き綱を握っている“狂犬”達が『結衣欠乏症』にかかり、些細なことでもキレるようになったからだった。
これは、乙女ゲームのような事件でえっちら、“狂犬”達が起こす騒動でおっちら、と駆け回る結衣の、ちょっとした苦労が絶えない物語である。
※1)不定期更新です。※2)R18要素の予告を入れませんので、左右背後にご注意ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-04-02 00:00:00
51905文字
会話率:43%