「さて、皆さまにお集まり頂いたのは他でもありません」
私は屋敷に人を集めて、さて、と言った。
名探偵、一同集めて、さてと言い。
推理小説の定番である。
まぁ、私はけして『名探偵』などと呼べるような身分ではないけれど。
しがない私立探偵だ。
浮気調査などを主とする、ごくごくありふれた……ああ、名乗っていませんでしたね。
これは失礼。
私の名は、磨鵜(まろう) 怜乃(れの)。
27歳、女性。
彼氏なし、旦那おらず、寂しい独り身の探偵業を営むアラサー女です。
此度私がこの事件に巻き込まれたのは、まだ残暑の残る9月の事でございました――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-11-21 16:39:45
7647文字
会話率:32%