冴えない人生を送る祐介は叔母の葬儀で二十年ぶりに従姉妹である、阿南椿(あなん・つばき)に再会する。
齢四十にして無垢の輝きを放つ笑顔を持ち、体躯も歳にそぐわず初々しい。
頭頂からつま先まで続くほっそりとした流れは、男に揉みしだかれたこともな
いかのように清冽だった。年相応の色香がなくもなかったが、その色はあまりに清純で、目にした者は様々な憶測をかきたてられる。
年増でありながら乙女。
それが椿を形容するのにふさわしい言葉だった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-13 10:11:45
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会話率:33%